Tag Archives: 虞世南

2022年絵まとめ

December 25,2022

2022暫定まとめ(画像大きいのでクリックで拡大) 李世民と虞世南であるなしクイズ(元ネタ:○エストランド) 『貞観政要』慎所好第二十一などに見える李世民の漢武帝批判と、会田大輔「唐の太宗は『帝王略論』を読んだのか」(『明大アジア史論集』23号、2019)の「『貞観政要』や『魏鄭公諫録』に見える李世民の歴史談義と『帝王略論』を比較すると、李世民は貞観十年(636)頃まで『帝王略論』の影響を受けていた(注:李世民自身の知識や経験が豊富になるにつれ、影響力は次第に薄れたとされる)」という指摘をパッチワークしたまんが この二人に限らず唐初の官僚は基本漢武帝に批判的なんですが… 李世民の「武帝には徳が足りていない」は虞世南『帝王略論』の「(武帝は)功は余りあっても徳が不足している」という一節からです 虞世南の武帝評はこの前段ではかなりのベタ褒めなんですけど都合上カットしてます、許してください… 追記: この漫画○エストランドの漫才と同じで「漢武帝批判としては手垢のついたベタな切り口のみを取り上げて一方的にまくし立ててる」というニュアンスで描いてたんですが、twitterで一部の中国史ファンの人から「確かに武帝は徳が足りていない」「文帝はほぼ完全無欠の名君」と全肯定の受け取れられ方をして申し訳なかったです。 漢武帝に限らず李世民や一般的に評価の高い漢文帝であっても(というかシステム的に言行が綿密に記録される中国皇帝全般)悪いところだけ取り上げれば全員こういうネタ作れると思います。 漢の文帝も尺布之謠や鄧通の寵愛や薄昭の一件を持ち出されて後世批判されることもありますしね……

隋末唐初の人物の風貌

March 31,2021 隋末唐初の人物の風貌

隋末唐初の人物の風貌についてのメモ 新旧唐書、太平御覧、冊府元亀などから、隋末唐初の人物の風貌に関する記述を集めてみました 隋から唐初の人物の見た目について軽く調べてみると、皇帝は顔が良く、名臣は体格がいいというルッキズムのパターンが存在しているようで、面白かったです 楊廣(隋煬帝)、李淵(唐高祖)、李世民(唐太宗)は全員顔がいい。楊堅も「普六茹堅相貌非常」と言われているので風格のある顔立ちだったと見ていいと思う(同じ『隋書』文帝紀で反相って言われてますが) 体格のいい臣下は、隋では竇栄定(容貌瓌偉)、楊素(容貌雄偉)、郭栄(榮容貌魁岸)、韓擒虎(容貌魁岸、有雄傑之表)、楊玄感(體貌雄偉、美鬚髯)など(いずれも『隋書』より)、唐では裴寂(及長、疎眉目、偉姿容)、劉文静(偉姿儀)、高士廉(姿儀端偉)、李靖(靖姿貌瓌偉)、尉遅敬徳(秀岐嶷之姿)など。親戚筋の韓擒虎と李靖がどちらも体格がいいのは血を感じさせます 楊堅の父楊忠も〈美鬚髯、身長七尺八寸、狀貌瓌偉、武藝絕倫〉(『北史』隋本紀上 隋高祖文帝)とかなりのビジュアルの強さで、そんな楊忠の血を引く楊堅と独孤信の血を引く独孤伽羅が夫婦になった結果、隋皇室の人間が高確率でビジュアルに恵まれているのに気付き、こんなに遺伝子がストレートに受け継がれることあるんだ…と思いました。ダビスタの交配みたい(やったことないけどイマジナリーダビスタがそういうゲームなので…) (追記 22.03.11) 楊堅も体格良かったはずだけど出典なんだっけ…と長らく考えてたけど『資治通鑑』でした 〈太將軍楊堅姿相奇偉。【堅為人龍顏、額有五柱入頂、目光外射、有文在手曰「王」。長上短下、沈深嚴重。】〉(『資治通鑑』巻172) だそうです(【】内は胡三省の注。『隋書』は「五柱」を「玉柱」(額に盛り上がった筋肉があること)としていて、こちらが正しいのではと思う) あと蜀王楊秀は〈有膽氣、容貌瓌偉、美鬚髯〉(『隋書』文四子 庶人秀伝)でやっぱりでかい 気が向いたら文帝の子供まで調べて表に追加しておきます…

2020年版凌煙閣二十四功臣

November 24,2020

いい凌煙閣二十四功臣の日だったので即席で作ったまとめ /// 李世民と凌煙閣二十四功臣の兄弟姉妹をざっと調べたメモ 二十四功臣って長兄率高くない?と思って調べましたが自力で確認できる分では実際高かったです あと世民が一人っ子(?)や長兄の人に懐く率が高いという収穫を得ました 世民、次男坊で下に弟が大勢いて(李淵パパが即位後に大勢の妃嬪を抱えていたので弟妹がたくさんいる)実際には兄属性なのに、持ち前の弟属性で長男・兄属性の功臣に甘えてた節がある あと同母兄弟とは政治的に対立したのに歳の離れた異母弟たちとは関係良好だったで、自分が壊してしまったなにかを埋めようとした結果功臣に甘えたがりになったというより、もともと兄弟と仲良くできる性質だったのではと思います そもそも李建成や李元吉ともものすごく険悪だった雰囲気ではないし丹陽公主(妹)への気遣いとか半端じゃないし…そういう人が血を分けた兄弟を討たざるをえなかったのが悲劇的だけど 李世民は李靖のことを私的な場では兄と呼んで慕っていたらしいですが(『隋唐嘉話』)、おそらく太原で出会った当初からそんな関係性だったんだろうな 李世民さんが兄弟と険悪になったあとで李靖に「薬師殿のことお兄ちゃんって呼んでいい?」とか聞いてたらあまりにもつらすぎる…

長孫無忌

November 18,2019

凌煙閣二十四功臣の立ち絵の下書き 元絵が大きい分ここ半月のほとんどをこれを描くのに費やしています まだ頭身や身長の調整も残ってる この過酷なマラソンから抜け出したい 当サイトの歴史創作では功臣の身長差などは特に想定しておらず、漫画やイラストでは一律に同じ身長で描いていました 立ち絵をかきはじめたら二十四人の人間を全員同じ身長に描くのがあまりにも難しかったので、脳内イメージでなんとなく身長差が決まっていきました このあとまた調整しますが 秦叔宝=程知節>尉遅敬徳≧屈突通>段志玄=劉弘基>李靖=柴紹=李世勣>李孝恭=殷開山=長孫順徳=張亮=侯君集=張公謹=劉政会=唐倹>長孫無忌=高士廉>杜如晦=魏徴=房玄齢=蕭瑀>虞世南 くらいがいいなと思います 玄齢如晦魏徴王珪、敬徳と通、二李、張亮と君集は画面の映え的にも身長を揃えたい 李世民は虞世南をちょっと見上げるくらいの身長差だと可愛い〜…

李世民、褚遂良、虞世南

November 27,2017

『旧唐書』『新唐書』初唐の三大家 初唐の三大家の三人と李世民で色々描きました 欧陽詢先生は顔出しNGキャラです。私の創作は顔出しNGキャラが多いです(ex.李建成、李元吉) 褚遂良も虞世南も被っている冠は風俗考証に沿っていません いちおう褚遂良の冠は進徳冠、虞世南の冠は貂蝉冠をイメージしているけど、そもそも虞世南は侍中を務めた経験がないので貂蝉冠を被る機会はなかった… 冠を被ってる褚遂良の表情が読みにくいところは史実の褚遂良の印象とマッチしている気がして気に入っています 褚遂良って笑わなそうだし何があっても表情変わらなそう。いつも仏頂面してそう 唐の太宗は空前の英明な君主であるが、書の技量においても、古今を通じて第一級である。その上、随臣の中に、いわゆる三大家がいて、初唐は書の最高の隆盛をむかえる。(略) 褚遂良(五九八ー六五八)は、両大家の晩年にようやく壮年に達した、いわば唐代生えぬきの最初の名家である。虞の死後、太宗の顧問となった、その最高の傑作「雁塔聖教序」(六五三)は、欧・虞でさえ夢想しなかったような、全く新しい境地を開拓している。 (伏見冲敬編集『角川書道字典』角川書店、1997) 褚遂良が新境地に達したのが李世民の死後なの、なかなか切なくていいですね…