December 07,2019 2019年に読んだ本


picrewのレトロ風メイドメーカーで作った李世民さん

師走になったので一年分の読書をおさらい

2019年に読んだ創作に使えそうな書籍のメモです
◎は好きな本


一月
『イスラム教入門』(中村広治郎、岩波書店 1998)
『キリスト教史3』(山川出版社 1978)


二月
『書物の文化史 メディアの変遷と知の枠組み』(加藤好郎・木島史雄・山本昭編集、丸善出版 2018)
『古代建築 専制王権と世界宗教の時代』(溝口明則著、中川武監修、丸善出版 2018)
『中国教育史 古代篇 東洋に根付いた倫理観』(朱永新著、岩谷季久子翻訳、科学出版社東京 2018)
『グローバル・ヒストリー』(妹尾達彦、中央大学出版部 2018)
『中国古代の年中行事 第五冊〔補遺〕』(中村裕一、汲古書院 2018)
『黄土に生まれた酒 中国酒、その技術と歴史』(花井四郎、東方書店 1992)


三月
『古代東アジアにおける法制度受容の研究 中国王朝と朝鮮三国の影響関係を中心に』(鄭東俊、早稲田大学出版部 2019)
『長安都市文化と朝鮮・日本』(矢野建一・李浩編、汲古書院 2007)
『唐王朝と古代日本』(榎本淳一、吉川弘文館 2008)
『大唐元陵儀注新釈』(金子修一主編、汲古書院 2008)
『教坊記・北里志』(崔令欽・孫棨著、斎藤茂訳注、平凡社 1992)
『中国性愛文化』(劉達臨著、鈴木博訳、青土社 2001)
『夢渓筆談1~3』(沈括著、梅原郁訳注、平凡社 1978)

『北里志』といい晩唐の野史には何かしら宣宗皇帝の微服エピが載ってますね
沈括『夢渓筆談』は科学技術に関する記事がピックアップされることが多いけど、巻十一、十二官政や巻十三権智の記事が面白くて好き


四月
『新訂 書の歴史 中国篇』(伏見冲敬・筒井茂徳著、二玄社 2012)
『書と道教の周辺』(吉川忠夫、平凡社 1987)
『チベットの文化 決定版』(R.A.スタン著、山口瑞鳳・定方晟翻訳、岩波書店 1993)


五月
『北朝社会における南朝文化の受容 外交使節と亡命者の影響』(堀内淳一、東方書店 2018)
『西魏・北周政権史の研究』(前島佳孝、汲古書院 2013)
『中国思想史』(小島祐馬、ベストセラーズ 2017)
『中国思想史』(溝口雄三・小島毅・池田知久、東京大学出版会 2007)
『モンゴル時代の「知」の東西』上下(宮紀子、名古屋大学出版会 2018)

堀内淳一『北朝社会における南朝文化の受容 外交使節と亡命者の影響』所収「補論 『陳書』の編纂過程と隋陳関係記事」、前島佳孝『西魏・北周政権史の研究』所収「第三部人物研究 第一章李虎の事跡とその史料」「第三章〔補論〕隋末李密の東都受官に関する一試論」が面白かった
李密は皇帝に即位する野心もありそのための周到な根回しもしていたが、同時代には李密よりもやり手で用意周到な李淵がいた。李淵はやっぱり面白い人だな〜


六月
『「情」の文化史 中国人のメンタリティー』(張競、角川学芸出版 2008)
『美女とは何か 日中美人の文化史』(張競、角川学芸出版 2007)
『中国庭園』(青羽光夫、誠文堂新光社 1998)
『中国服飾史図鑑第1巻』(黄能馥・陳娟娟・黄鋼編著、古田真一監修・翻訳、科学出版社東京 2018)
『「正史」はいかに書かれてきたか 中国の歴史書を読み解く』(竹内康浩、大修館書店 2002)
『「生き方」の中国史 中華の民の生存原理』(竹内康浩、岩波書店 2005)
『初学者のための中国古典文献入門』(坂出祥伸、筑摩書房 2018)
『五経正義の研究』(野間文史、研文出版 1998)

竹内康浩『「生き方」の中国史 中華の民の生存原理』は多数のエピソードをもとに古代中国人の価値観や思想を俯瞰して描き出していてかなり好きです


七月
『唐代金銀器文様の考古学的研究』(冉万里、雄山閣 2007)
『東アジア都城の比較研究』(橋本義則、京都大学学術出版会 2011)
『史通 外篇』(劉知幾著、西脇常記訳注、東海大学出版部 2002)
『性愛の中国史』(劉達臨著、松尾康憲・于付訓・氷上正訳、徳間書店 2000)
『中国春画論序説』(中野美代子、講談社 2010)
『中華図像遊覧』(杉原たく哉、大修館書店 2000)

中野先生の本っていやが応にも面白い。『唐代金銀器文様の考古学的研究』は創作の資料に使える


八月
『荊楚歳時記』(宗懍著、守屋美都雄訳注、布目潮渢・中村裕一補訂、平凡社 1978)
『遥かなる長安 金銀器と建築装飾展-唐朝文化の輝きをもとめて』(福岡市博物館編、福岡市博物館 1996)
『中国・美の十字路展』(曽布川寛、出川哲朗監修、大広 2005)
『シルクロード建築考』(岡野忠幸、東京美術 1983)
『古代中国研究』(小島祐馬、平凡社 1988)
『中国神話』(聞一多著、中島みどり訳、平凡社 1989)
『地域史と世界史』(羽田正責任編集、ミネルヴァ書房 2016)
『図説 清明上河図』(楊新著、関谷喜久子訳、科学出版社東京 2015)
『夢想と身体の人間博物誌』(張競、青土社 2014)
『伝統中国の歴史人類学 王権・民衆・心性』(鄭振鐸、知泉書館 2005)

『荊楚歳時記』は訳注が充実してる良書です。『伝統中国の歴史人類学 王権・民衆・心性』は再読


九月
『中国服飾史図鑑第二巻』(黄能馥・陳娟娟・黄鋼編著、古田真一監修・翻訳、栗城延江翻訳、国書刊行会 2019)
『新中国の考古学』(中国社会科学院考古研究所編集、関野雄監訳、平凡社 1988)
『敦煌装飾図案』(関友惠著、敦煌研究院・樊錦詩主編、岡田陽一訳、科学出版社東京 2019)
『元刋雑劇の研究 三奪槊・氣英布・西蜀夢・單刀會』(赤松紀彦・井上泰山・金文京・小松謙・佐藤晴彦・高橋繁樹・高橋文治・竹内誠・土屋育子編、汲古書院 2007)

『中国服飾史図鑑第二巻』はこれ一冊あればかなり戦える資料。とにかく図像が豊富なのがいい


十月
『砂漠の美術館-永遠なる敦煌 中国敦煌研究院創立50周年記念』(水野敬三郎・田口栄一・朝日新聞社文化企画局東京企画部編著、朝日新聞社 1996)
『図説国子監-中国歴代王朝における最高学府』(孔喆著、岩谷季久子訳、科学出版社東京 2019)
『古代日中関係史-倭の五王から遣唐使以降まで』(河上麻由子、中央公論新社 2019)

科学出版社東京はひっそり良書を翻訳するね…。河上先生は『古代アジア世界の対外交渉と仏教』(山川出版社 2011)も面白いです


十一月
『中国書画落款集』(谷文晁、国書刊行会 1992)
『人間の世界歴史7 草原とオアシスの人々』(護雅夫、三省堂 1984)

『草原とオアシスの人々』おっっっもしろ。人間の世界歴史シリーズは増井経夫先生の『中国史-そのしたたかな軌跡』も良書で、古い本だけど読んで良かった
『中国書画落款集』には「中国歴代帝王印譜」が付録されており、李世民が使ってた玉璽が可愛すぎ案件でした

なんの聖獣なんだろうこれ


十二月
『中国の英雄豪傑を読む―『三国志演義』から武侠小説まで』(鈴木陽一/編集、大修館書店 2002)
『文明の十字路=中央アジアの歴史』(岩村忍、講談社 2007)
『シリーズ中国の歴史1 中華の成立:唐代まで』(渡辺信一郎、岩波書店 2019)

『中華の成立:唐代まで』、皇子時代の李世民は持ち歌(秦王破陣楽)を中華の外インド諸国にまで響かせるアイドル、即位後の李世民は唐王朝三百年の礎を築き東突厥平定後に天可汗の称号を推戴され遊牧世界と中華世界の融合した第二次中華帝国を生んだ母…ということが書いてありました。マジで