Category Archives: 読書

淫唐伝1

September 30,2019

鬼畜玩具箱の朽木諾先生から《淫唐傳》をご恵贈いただきました 《淫唐傳》は隋末唐初を舞台にした李世民総受小説 615年の雁門での初陣後から玄武門の変を経て帝位を得るまでの、李世民の前半生がエロティックに描かれています。 史実をベースに行間を巧みに膨らませていて凄いんですこれが。神創作です 李世民さんが隋末唐初のファム・ファタルとしての輝いていて最高です 以下えっちな画像があるので追記…

房玄齢李世民

June 23,2018

〈玄齢は、昔、我に従いて天下を定め、備に艱苦を嘗め、万死を出でて一生に遇えり。草創の難きを見る所以なり。〉 (『貞観政要』巻第一 君道第一) 谷川道雄先生の『貞観政風の一研究』を読んでいます 特筆して目新しい発見はないものの「わかる〜」と言いたくなる文章がゴロゴロ出てくる 貞観代の君臣関係やっぱり好きだ〜。あの時代の朝廷には楊廣の悪政を見過ごした人間も隋末の動乱の中で傷ついた人間も沢山いたけれど、彼らは各々の傷から目をそらさず、自分より年若い君主と真摯に政治問答を重ねることで新しい時代の新しい政治を作ろうとした あの時代の政治議論は一見理想主義的だけど、実情はあまりにも切実な思いによって行われていた人間的な営みで、だからこそ時代を越えて人の胸を打つんじゃないかなと思った 李世民も臣下も皆大好き そんなことを考えていたら6/23の太原挙兵の日をうっかりスルーしました。完…

李世民、褚遂良、虞世南

November 27,2017

『旧唐書』『新唐書』初唐の三大家 初唐の三大家の三人と李世民で色々描きました 欧陽詢先生は顔出しNGキャラです。私の創作は顔出しNGキャラが多いです(ex.李建成、李元吉) 褚遂良も虞世南も被っている冠は風俗考証に沿っていません いちおう褚遂良の冠は進徳冠、虞世南の冠は貂蝉冠をイメージしているけど、そもそも虞世南は侍中を務めた経験がないので貂蝉冠を被る機会はなかった… 冠を被ってる褚遂良の表情が読みにくいところは史実の褚遂良の印象とマッチしている気がして気に入っています 褚遂良って笑わなそうだし何があっても表情変わらなそう。いつも仏頂面してそう 唐の太宗は空前の英明な君主であるが、書の技量においても、古今を通じて第一級である。その上、随臣の中に、いわゆる三大家がいて、初唐は書の最高の隆盛をむかえる。(略) 褚遂良(五九八ー六五八)は、両大家の晩年にようやく壮年に達した、いわば唐代生えぬきの最初の名家である。虞の死後、太宗の顧問となった、その最高の傑作「雁塔聖教序」(六五三)は、欧・虞でさえ夢想しなかったような、全く新しい境地を開拓している。 (伏見冲敬編集『角川書道字典』角川書店、1997) 褚遂良が新境地に達したのが李世民の死後なの、なかなか切なくていいですね…

『サマルカンドの金の桃』(李世民)

January 30,2017

〈しかし、これらの伝説や音楽の中に想像されるだけでなく、実際に金の桃は存在したのである。7世紀に2度、サマルカンド王国が、中国の皇帝に朝貢物として見事な黄色い桃を送った史実があり、「鶏卵ほどの大きさで、黄金のような色をしていたので「金桃」ともよばれた」と記録されている。 この王者の桃を実らせる木は、セリンディアの砂漠を越えて、駱駝に乗った外交使節団に運ばれ、長安の宮廷果樹園に植えられた(訳者注:セリンディアとは、オーレル・スタインが使った言葉で、中国を表す「セリカ」と「インド」の合成語。具体的には、トルキスタン東部、タクラマカン砂漠をさす。) 果たしてどんな実がなり、どんな味がしたのか、今となっては想像する由もない。この桃は、それにまつわる伝説ゆえに、神秘性を加えられ、唐代人が憧れ求めてやまなかった異国の品々、未知なるものの象徴となった。〉 (『サマルカンドの金の桃―唐代の異国文物の研究』(エドワード・H・シェーファー著、伊原弘監修、吉田真弓訳、アシアーナ叢書 2007) 『サマルカンドの金の桃―唐代の異国文物の研究』をようやく買いました。 唐代に異国からもたらされた文物の百科辞書のような本で、読んでいて面白いです。 唐代の皇帝について「愛国心が強く好戦的」と形容しているくだりがあって思わず笑いました。あってるあってる ツイッターで果物好き好き皇帝かわいいという話をしたら三毛さんが描いてくださいました! メロン大好きバーブルさんと桃を食べる李世民さん…かわいいよ〜〜〜っっ…