検索語「道教の世界 講談社選書メチエ」[2件]
『道教の世界(講談社選書メチエ)』(菊地章太、講談社 2012)
かなり好き
道教について、老子、宗教、自然観、教団、経典、神統譜、山岳信仰、仙人、女神…といったテーマを軸に縦横無尽に語る入門者向けの本
同先生の『儒教・仏教・道教 東アジアの思想空間』(講談社 2022)を読んだときも思ったけど、菊地先生は「信仰」に対する解像度が高いというか、中国史に生き道教を信仰した人々をちゃんと「人間」として見ているので、必然中国史世界の解像度も高い。と思う
なのでこの本も道教を通じて「道教を信仰した人々の生きる中国世界」まで見えてくる
最初『儒教・仏教・道教 東アジアの思想空間』に比べたら控えめかな?と思っていた筆致も章が進むにつれ徐々にギアが上がっていくので笑ったし嬉しかったです
以下は好きな部分の引用
« close
かなり好き
道教について、老子、宗教、自然観、教団、経典、神統譜、山岳信仰、仙人、女神…といったテーマを軸に縦横無尽に語る入門者向けの本
同先生の『儒教・仏教・道教 東アジアの思想空間』(講談社 2022)を読んだときも思ったけど、菊地先生は「信仰」に対する解像度が高いというか、中国史に生き道教を信仰した人々をちゃんと「人間」として見ているので、必然中国史世界の解像度も高い。と思う
なのでこの本も道教を通じて「道教を信仰した人々の生きる中国世界」まで見えてくる
最初『儒教・仏教・道教 東アジアの思想空間』に比べたら控えめかな?と思っていた筆致も章が進むにつれ徐々にギアが上がっていくので笑ったし嬉しかったです
以下は好きな部分の引用
道教はなんだかとらえにくい。いろいろなものがありすぎる。ありすぎて芒洋としている。(略)
定義することは範囲を限定することでもある。範囲を限定すれば、そこからこぼれ落ちてしまうものがある。道教の場合、それがあまりにも多い。そうしてこぼれ落ちたもののなかに、かがやいているものがあまりにも多い。むしろそれを拾い集めてみたい気がする。そのために今あえて定義をこころみる。
道教とは「道」の教えである。
ここから出発しよう。(「はじめに」 p4)
中国には「人生に成功したら儒教、失敗したら道教」という言葉がある。しかもこの成功と失敗ということも、いったん成功したらもうめでたしなどとは誰も考えないだろう。王朝が交代をくりかえしてきた中国社会では、それは厳然たる社会法則である。それは世のなかを生きていくうえでの戒めである。同時に慰めでもある。(略)
あたかもあざなえる縄のごとくに成功と失敗の人生がくりかえされていく。そのなかで儒教も道教もそのときどきに頼りにされていく。そうした融通のきいたしたたかさと、ふところの深さが、いかにも人々の心情に合うのだろう。(「第一章 しいたげられた心の救い - 老子/宗教/自然観」p14)
…こうした差異をふまえてもなお、したげられたものの救いという性格が道教にもある。
それはかならずしも特定の階層だけに限定されない。たとえ社会の上層であっても、そのような痛みはあるにちがいない。皇帝でさえそうかもしれない。不安だらけの孤独と猜疑心に押しつぶされて、いつしか道教にのめりこんでいった支配者は数知れない。したがって、道教を民衆の宗教という視点からだけでとらえると、大事な一面を取り逃してしまう。(「第一章 しいたげられた心の救い - 老子/宗教/自然観」p16)
道教は捨てたりしない。この世への執着を大事にする。この世にありつづけようとする。たとえ今、踏みつけられ、おとしめられていてもである。世の中はいつか変わるかもしれない。いつか光がさしてくるかもしれない。それもこれも、ながらえてあればこその話ではないか。そのために命をいつくしむのである。
命をいつくしむ。道教の原点はきっとここにある。
不老長生の願いはここからはじまる。そのためになすべきことは山ほどある。(「第一章 しいたげられた心の救い - 老子/宗教/自然観」p18)
乳母娘々(にゅうぼニャンニャン)。母乳がたくさん出るようにしてくれる女神である。願いがかなったら真っ白な蒸し饅頭をおそなえする。てっぺんを紅で染めてあり、おっぱいみたいだ。(「第三章 その喧噪のただなかで - 山岳信仰/仙人/女神」p90)
女神たちの祭壇には娃々(ワアワア)の人形が所せましとおそなえしてある。娃々は赤ちゃん。はだかの赤ちゃんの泥人形は、子宝を祈るためのものである。娘々像の前に置いてある娃々を抱いて家に帰る。名前をつけて大切にする。いつか子どもができたなら、お礼に新しい人形を買い求めておそなえする。(略)
こればかりは神さまにお祈りするしかない。そういう願いはどんなに科学が発達してもなくならない。そしてどんなに時代が変わろうとも、神さまに願うことはそれほど大きく変わらない。
赤ちゃんができますように。赤ちゃんが元気に育ちますように。子どもが病気にかかりませんように。病気が早くなおりますように。(「第三章 その喧噪のただなかで - 山岳信仰/仙人/女神」p90)
私たちは何もかもしゃにむにプラスの方向へ積み上げてきた。それがたった一撃の大波でもろくも崩れ去った。波はそもそも水ではないか。もっとも低いところにあるものが、もっとも高いところにある科学技術の城をつきやぶった。(略)
動脈は人の体に血液をめぐらしている。動脈を流れる血液は体中に酸素をはこぶ。ところが動脈だけでは体は機能しない。二酸化炭素でにごった血液をもどす静脈がある。静脈の所々に弁があって血液の逆流を防いでいる。(略)それらが機能しつつ補完しあって体はまったき活動を維持することができるのだ。
中華帝国の歴史を動かしてきたのは儒教主導の政治理念であった。そしてそこに生きる人々の暮らしを道教が包み込んでいる。そのまわりの民間の習俗と道教はひとかたまりである。儒教がありつづけるところに道教もありつづけるであろう。(略)
有為を強いられ有事を耐えしのぶ心に、無為をよろこび無事にやすらぐ世界があることを教えてくれる。それも救いのひとつのかたちではないか。(「第六章 十中八九でたらめでも - 学術史/学者/現在」p179)
« close
Powered by てがろぐ Ver 4.7.0.
今年もう半年終わってるの怖
読んだ
『儒教の知恵 矛盾の中に生きる』(串田久治、中央公論新社 2003)
感想
『道教の世界(講談社選書メチエ)』(菊地章太、2012 講談社)
感想
読んでる
『新釈漢文大系27 礼記 上』(竹内照夫著、明治書院 1971)
『礼記』をちゃんと読んでない不勉強さにさすがに不便さを覚えはじめたのでちまちま読んでます
内容が雑多で楽しいけど、このとりとめのなさのせいでいまいち読書が捗らない
『東アジアは「儒教社会」か? アジア家族の変容』(浜正子編、京都大学学術出版会 2022)
京都大学学術出版会が出してる東アジア史ジェンダー本で一番読み応えある気がする。ので全然進みが遅い
『中国の伝統色 故宮の至宝から読み解く色彩の美』(郭浩・李健明原著、黒田幸宏訳、鷲野正明監修、翔泳社 2023)
故宮の文化財の色彩を色見本とし、古典に登場する伝統色を体系化し二十四節気と七十二候に基づいて紹介する本
色の解説にもさまざまな古典が引用されていて、これがかなり壮観
全部に目を通して推し時代に関係があるところだけピックアップしたい
故宮の美術品の写真が一枚も載ってないことにびっくりしたけどイラストが好みのタッチだったのでヨシ(中身未確認購入猫)
« close