Tag Archives: 房玄齢

房玄齢李世民

June 23,2018

〈玄齢は、昔、我に従いて天下を定め、備に艱苦を嘗め、万死を出でて一生に遇えり。草創の難きを見る所以なり。〉 (『貞観政要』巻第一 君道第一) 谷川道雄先生の『貞観政風の一研究』を読んでいます 特筆して目新しい発見はないものの「わかる〜」と言いたくなる文章がゴロゴロ出てくる 貞観代の君臣関係やっぱり好きだ〜。あの時代の朝廷には楊廣の悪政を見過ごした人間も隋末の動乱の中で傷ついた人間も沢山いたけれど、彼らは各々の傷から目をそらさず、自分より年若い君主と真摯に政治問答を重ねることで新しい時代の新しい政治を作ろうとした あの時代の政治議論は一見理想主義的だけど、実情はあまりにも切実な思いによって行われていた人間的な営みで、だからこそ時代を越えて人の胸を打つんじゃないかなと思った 李世民も臣下も皆大好き そんなことを考えていたら6/23の太原挙兵の日をうっかりスルーしました。完…

twitterパロ(李世民)

July 18,2017

漫画の冒頭は『貞観政要』巻六論倹約第十のエピソードを下敷きにしています 〈貞觀二年、公卿奏曰「依《禮》、季夏之月、可以居臺榭。今夏暑未退、秋霖方始、宮中卑濕、請營一閣以居之。」太宗曰「朕有氣疾、豈宜下濕。若遂來請、糜費良多。昔漢文將起露臺、而惜十家之產、朕德不逮於漢帝、而所費過之、豈為人父母之道也?」固請至於再三、竟不許。〉 (『貞観政要』巻六論倹約第十) (訳)貞観二年、公卿が上奏して言った。「《礼記》には「季夏の月は〔暑気を避けて〕臺榭(高台)に居るべきである」とあります。今盛暑が退かないまますでに秋の長雨が始まり、宮中は土地が低くじめじめしております。高台一閣を建ててそこでお過ごしになるべきです。」 李世民は言った。「朕には気病があり、湿気は体に宜しくない。しかし上奏の通りに高台を建てれば多くの経費がかかる。昔、漢の文帝は露台を作ろうとしたが、その費用が〔中流家庭の〕十家分の資産に相当すると知ると、その費用を惜しんで中止した。朕の徳は漢の文帝に遠く及ばないのに、文帝以上に浪費するのは、どうして人の父母の道に沿っていると言えよう。」ついに申し出を許さなかった。 (参考:新釈漢文大系96『貞観政要 下』原田種成著、明治書院 1978) 李世民は度々太極宮は湿気が多く夏場過ごしにくいと口にしていますが、長安は盆地で高温多湿地域のため体感では敦煌より暑かったそうです そりゃ愚痴も言いたくなる…

唐倹伝の(李世民)

November 18,2014

クリスタ導入したんですがブラシ(Gペン)が良すぎる 今更ながら上のやりとりのかわいさに気付いてしまって震える日々です 「唐倹猪にビビった!唐倹かっこわる〜い!(`・▽・´)」 「たかが猪如きにマジになっちゃって、陛下かっこわる〜い!( ´_ゝ` )」 「今日はもう帰ろう(`・▽・´)」 ギャグだ… 確実に30と50は過ぎてたであろうおじさん二人がこんな会話してるとか激もえ でも高祖は馬上で〜は劉邦を諌める陸賈の言葉なので、古典を引用してすかさず言い返す唐倹の機知が光る 李世民が彼を評して言った言辭便利(『旧唐書』長孫無忌伝)ってこういうところなんだろうな /// 追記 書いてから気づいた大ミス、このときの唐倹は馬を捨ててるけど逃げてはないです 〈後從幸洛陽苑射猛獸、羣豕突出林中、太宗引弓四發、殪四豕、有雄彘突及馬鐙、儉投馬搏之、太宗拔劍斷豕、顧笑曰「天策長史不見上將擊賊耶!何懼之甚?」對曰「漢祖以馬上得之、不以馬上治之、陛下以神武定四方、豈復逞雄心於一獸。」太宗納之、因為罷獵。〉(『旧唐書』唐倹伝) (訳)唐倹はのちに太宗の行幸に従い、洛陽宮の苑庭で猛獣狩りに同行した。突然猪の群が林の中から飛び出すと、太宗は弓を四発引いて四頭の猪を斃したが、一頭の雄猪が突進して馬鐙にまで飛びかかってきた。唐倹が馬を投げ捨ててこれを搏(う)つと、太宗は剣を抜いて猪を斬り殺し、唐倹を顧みて笑って言った。「天策長史殿は上将が賊を討つところを見ていないのか?何をそのように恐れる?」 唐倹は答えて言った。「漢の高祖は馬上で天下を得ましたが、馬上で天下を治めたのではありません。陛下は神武で四方を平定しましたのに、一匹の獣ごときに雄心を奮われるのですか。」李世民はこの言葉を受け入れ、狩猟を取りやめとした。…