李世民の天策上将府について 李世民の天策上将府についてのメモ 天策上将府（天策府）について 天策上将府（天策府）は天策上将の開府した府のこと。 天策上将は李淵が李世民のために独自に創設した官号を指す。 四年二月、竇建德率兵十萬以援世充、太宗敗建德于虎牢、執之、世充乃降。 六月、凱旋、太宗被金甲、陳鐵騎一萬、介士三萬、前後鼓吹、獻俘于太廟。 高祖以謂太宗功高、古官號不足以稱、乃加號天策上將、領司徒、陝東道大行臺尚書令、 位在王公上、增邑戶至三萬、賜袞冕、金輅、雙璧、黃金六千斤，前後鼓吹九部之樂，班劍四十人。 （『新唐書』本紀第二 太宗） 上以秦王功大、前代官皆不足以稱之、特置天策上將、位在王公上。 冬、十月、以世民爲天策上將、領司徒、陝東道大行臺尚書令、增邑二萬戸、仍開天策府、置官屬（略）。 （『資治通鑑』 巻百八十九） 是用命爾為天策上將、位王公上、領司徒陝東道大行台尚書令、增邑二萬戶、通前三萬戶。 （『全唐文』高祖三「冊秦王天策上将文」） 武德四年，太宗平洛陽之後、又置天策上將府官員。 天策上將一人、掌國之征討、總判府事。 （『旧唐書』志第二十二 職官一） （武徳）九年、皇太子建成、齊王元吉謀害太宗。六月四日、太宗率長孫無忌、尉遲敬德、房玄齡、杜如晦、宇文士及、高士廉、侯君集、程知節、秦叔寶、段志玄、屈突通、張士貴等於玄武門誅之。甲子、立為皇太子、庶政皆斷決。（略）乙酉，罷天策府。 （『旧唐書』志第二十二 職官一） 武徳四年（西暦621年）二月、李世民は竇建徳・王世充の平定に成功し六月に長安にて凱旋。 李淵は世民の功績が非常に高いことから古来の官号ではそれを称するのに不足だと考え、新たに天策上将という官号を設置した。 世民は天策上将、司徒、陝東道大行臺尚書令を拝領し、二万戸を増邑され、天策府の開府を許された。 位を親王・三公（太尉、司徒、司空）の上とする。（天策上将・三師・親王・三公はいずれも正第一品） 世民はこれ以前にすでに太尉を拝領しており、三公の内太尉・司徒を兼ねる。この時期三師（太師、太傅、太保）は空席。 天策上将府は武徳九年（626年）玄武門の変後に解体された。 天策上将府の官制・官員について 天策上将府の官制は武徳四年の《武徳律令》によって制定され、武徳九年に廃止された。 天策府の官制は東宮府や通常の王府のものとは異なる。 官名品階定員数就官者職務内容 天策上将正第一品一人李世民掌國之征討、總判府事 天策府長史従第三品一人唐倹・宇文士及・韓良掌通判府事 天策府司馬従第三品一人封徳彝・宇文士及・韓良掌通判府事 天策府従事中郎従第四品下二人杜如晦・于志寧掌通判府事 天策府軍諮祭酒正第五品下二人蘇世長謀軍事、贊相禮儀、宴接賓客 天策府主簿従第五品下二人不明掌省復教命 天策府記室参軍事従第五品下二人薛収・薛元敬・許敬宗掌書疏表啓、宣行教命 天策府功曹参軍事第六品下二人薛懐昱掌官員假使、儀式、醫藥、選舉、考課、祿恤、鋪設等事 天策府倉曹参軍事第六品下二人李守素掌糧廩、公廨、田園、廚膳、過所等事 天策府兵曹参軍事第六品下二人杜淹掌兵士簿帳、差點等事 天策府騎曹参軍事第六品下二人不明掌馬驢雜畜簿帳及牧養支料草粟等事 天策府鎧曹参軍事第六品下二人韋元整掌戎仗之事 天策府士曹参軍事第六品下二人不明掌營造及罪罰之事 天策府参軍事正第七品下六人薛元敬・李桐客・顔相時掌出使及雜檢校之事 天策府典簽正第八品上四人不明掌宣傳導引之事 天策府録事正第九品上四人不明掌書疏表啓、宣行教命 （六曹並有令史。書令史。） 官職、官位、定員、職務内容については『旧唐書』百官志参照。 その官職に就いた人間については↓参照。 天策上将：李世民 〈（武徳四年）十月、加號天策上將〉 （『旧唐書』本紀第二 太宗） 天策府長史：唐倹 〈還為禮部尚書、天策府長史、檢校黃門侍郎、莒國公。〉 （『旧唐書』列伝第十四 唐倹） 天策府長史・天策府司馬：宇文士及 〈嗣子士及、天策府長史、中書侍郎、上柱國、郢國公。〉 （《宇文術墓誌》） 〈（武徳八年）十一月辛卯（略）天策上將府司馬宇文士及權檢校侍中。〉 （『旧唐書』本紀第一 高祖） 天策府長史・天策府司馬：韓良 〈五年判天策府從事。其年劉黑闥薦食三魏、吞噬兩河、爰詔中權、以申薄伐、以公為元帥府長史。〉 （『全唐文』巻百四十四 《唐故太子少保上柱國潁川定公碑》） 〈複攝天策府司馬〉 （『全唐文』巻百四十四 《唐故太子少保上柱國潁川定公碑》） 天策府司馬：封徳彝 〈封平原縣公、判天策府司馬。〉 （『旧唐書』列伝第二十五 封倫） 天策府従事中郎：杜如晦 天策府建、以為從事中郎。畫象於丹青者十有八人、而如晦為冠首。〉 （『旧唐書』列伝第十六 杜如晦） 天策府従事中郎：于志寧 及太宗為秦王、天策上將、志寧累授天策府從事中郎、每侍從征伐、文學館學士。〉 （『旧唐書』列伝第二十八 于志寧） 天策府軍諮祭酒：蘇世長 〈後歷陜州長史、天策府軍諮祭酒。秦府初開文學館、引為學士。〉 （『旧唐書』列伝第二十五 蘇世長） 天策府記室参軍事：薛収 〈及軍還、授天策府記室參軍。〉 （『旧唐書』列伝第二十三 薛収） 天策府記室参軍事：薛元敬 〈元敬為秘書郎、太宗召為天策府參軍、兼直記室〉 （『旧唐書』列伝第二十三 薛元敬） 天策府記室参軍事：許敬宗 〈著作佐郎攝天策記室許敬宗。〉 （『唐會要』巻六十四 史館下） 天策府功曹参軍事：薛懐昱 〈曾祖懐昱、皇朝天策府功曹。〉 （『大唐故袁州別賀薛府君墓志銘』） 天策倉曹：李守素 〈太宗平王世充、徵為文學館學士、署天策府倉曹參軍。〉 （『旧唐書』列伝第二十二 李守素） 天策府兵曹参軍：杜淹 〈引為天策府兵曹參軍、文學館學士。〉 （『旧唐書』列伝第十六 杜淹） 天策府鎧曹参軍事：韋元整 〈元整、皇朝西府東閣祭酒、天策上將府鎧曹參軍事、通曹二州刺史、上柱國。〉 （『唐故益川大都督府成都縣令韋府君墓志』） 天策府参軍事：薛元敬 〈元敬為秘書郎、太宗召為天策府參軍、兼直記室〉 （『旧唐書』列伝第二十三 薛元敬） 天策府参軍事：李桐客 〈天策上將府參軍李桐客〉 （『新唐書』志第四十八 藝文二） 天策府参軍事：顔相時 〈師古弟相時、字睿、亦以學聞。為天策府參軍事。〉 （『新唐書』列伝第一百二十三 儒學上 顔相時） 判断に困るもの 〈屬以大行台司勳郎中杜如晦、記室考功郎中房元齡、於誌寧、軍諮祭酒蘇世長、天策府記室薛收、文學褚亮、姚思謙、太學博士陸德明、孔穎達、主簿李道元、天策倉曹李守素、王府記室參軍虞世南、參軍事蔡允恭、薛元敬、顏相時、宋州總管府戶曹許敬宗、太學助教蓋文達、諮議典簽蘇勖等（略）宜令並以本官兼文館學士。〉（『全唐文』収録 李世民『置文館學士教』） 李世民が文学館学士を設置した際に出した教。 天策府にのみ設置された官職には「天策府」を明記せず（軍諮祭酒蘇世長）、 王府にも同様の官が存在していた場合に「天策府」を明記する（天策府記室薛収、天策倉曹李守素）としている？ その他 百度百科の記事：天策府（唐初李世民府邸）_百度百科
李世民の天策上将府について
李世民の天策上将府についてのメモ
天策上将府（天策府）について
天策上将府（天策府）は天策上将の開府した府のこと。
天策上将は李淵が李世民のために独自に創設した官号を指す。
武徳四年（西暦621年）二月、李世民は竇建徳・王世充の平定に成功し六月に長安にて凱旋。
李淵は世民の功績が非常に高いことから古来の官号ではそれを称するのに不足だと考え、新たに天策上将という官号を設置した。
世民は天策上将、司徒、陝東道大行臺尚書令を拝領し、二万戸を増邑され、天策府の開府を許された。
位を親王・三公（太尉、司徒、司空）の上とする。（天策上将・三師・親王・三公はいずれも正第一品）
世民はこれ以前にすでに太尉を拝領しており、三公の内太尉・司徒を兼ねる。この時期三師（太師、太傅、太保）は空席。
天策上将府は武徳九年（626年）玄武門の変後に解体された。
天策上将府の官制・官員について
天策上将府の官制は武徳四年の《武徳律令》によって制定され、武徳九年に廃止された。
天策府の官制は東宮府や通常の王府のものとは異なる。
官職、官位、定員、職務内容については『旧唐書』百官志参照。
その官職に就いた人間については↓参照。
天策上将：李世民
天策府長史：唐倹
天策府長史・天策府司馬：宇文士及
天策府長史・天策府司馬：韓良
天策府司馬：封徳彝
天策府従事中郎：杜如晦
天策府従事中郎：于志寧
天策府軍諮祭酒：蘇世長
天策府記室参軍事：薛収
天策府記室参軍事：薛元敬
天策府記室参軍事：許敬宗
天策府功曹参軍事：薛懐昱
天策倉曹：李守素
天策府兵曹参軍：杜淹
天策府鎧曹参軍事：韋元整
天策府参軍事：薛元敬
天策府参軍事：李桐客
天策府参軍事：顔相時
判断に困るもの
李世民が文学館学士を設置した際に出した教。
天策府にのみ設置された官職には「天策府」を明記せず（軍諮祭酒蘇世長）、
王府にも同様の官が存在していた場合に「天策府」を明記する（天策府記室薛収、天策倉曹李守素）としている？
その他
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